こんなトラブルを今頃騒ぐとは・・・
再来年から必修になる小学5、6年生の英語の授業について、文科省が全国の公立小学校約2万1000校を対象に調査を実施したところ、昨年度に小学校で実施された英語授業のうち7割近くで外国語指導助手(ALT)が活用されていたことがわかった、という記事があった。
こんなことをわざわざ調査しなければ分からないのも変な話だが、ALTから『生の英語』を学ぶ機会が定着してきたことが浮き彫りになった形だと評価している一方、簡単に授業を投げ出してしまうALTもいるなど、『質』の問題が浮かび上がってきたとの分析は笑う以前に呆れてしまう。
この問題について私は何度も取り上げている。学校現場に予算も与えず人材も確保しないで、文科省の担当幹部の『小学校から英語が必要・・・』ということだけをお題目のように唱える方針に、現場はどれだけ苦しんでいるのか全くわかっていないらしい。
英語を必須になることが決まると、教育現場は仕方なしにその準備にかかるのだが、小学校の教員で英語を教えられる者は皆無に等しい中、このことは大変なプレッシャ-。教育委員会から派遣されるALTを頼りに、1年生か6年生までほとんど同じカリキュラムで『英語活動』と称する授業を展開しているのが現状である。
必須は5・6年なのだが、全国どこでも1年生から英語活動を展開しているのも変と言えば変なのだが・・・。
当然のことだが、ALTの確保が教育委員会の仕事になり、英会話教室などに頭を下げて人を回してもらいALTとして採用するのだが、この予算を捻出するのが必難。
例えば20の小学校をかかえる教育委員会ではどのぐらいの予算が必要なのか計算してみよう。全国的に見て1年生から6年生まで週一時間が一般的だと言われているので、この数値を当てはめると・・・。
それぞれが3学級あるとすると、一校あたり月に72時間分の予算が必要になる。ALTの時間あたりの手当ては(私の知る限り)3000円程度だと言うから、216000円。20校として432万円。これが11ケ月で4752万円となる。
これは大変な金額である。面積が広い地方では学校数はさらに増えるだろう。隣の学校に自転車で移動などというわけには行かず、交通手段も手当てしなければならないとなると、それでなくても厳しい財政に負担がかかるのは小学生でも理解できる理屈。
一人のALTが歌って踊っての『英語活動(私はこれを『チ-チ-パッパ授業』と名づけているが)』にこれほどの予算をかける価値があるとはとても思えないのだが、何を勘違いしているのか、文科省は強引に小学校に英語を持ち込む姿勢を貫いている。
記事には、ある県の教育委員会の担当者の苦労が紹介されている。
それによると、業者から米国人ALTが交代するとの電話連絡を受け『また辞めるのか』と頭を抱えているという。今年度になってすでに辞めるのは3人目。1人目は『通勤時間が長い』と小学校に現れず、2人目と3人目は『一身上の都合』などを理由に、1学期の授業だけで、学校から消えたとのこと。2学期からは4人目が来るが担当者は『継続性が大事なのにこんなに交代するなんて。児童たちにも説明ができない』と困惑しているという。
現場の校長はもっと困惑しているはず。1学期の間に3人もの『先生-が変わっては、子どもたちは学習どころではない。一言も声をかけてもらえない子どももいるのではないだろうか。これでは英語に親しむどころか、嫌いになる可能性の方が大きくなるのではないだろうか・・・。
ある校長の『もっと手当てをあげれば辞めないのに・・・』というつぶやきも紹介されている。これは校長の切実な願いだろうが、予算をすこしでも切り詰めたい市としてはできるだけ安く講師を派遣してくれる業者と契約するのは致し方ない。
派遣業者も人材確保が大変だろう。英会話学校が派遣業者を兼任するか、提携しているだろうから本職の『講師』はすでにスケジュ-ルが一杯。
以前から私が指摘しているように、英語圏の人間をどこからか探し出して『俄講師』に仕立てて各学校にALTとして派遣しているとなると、質が落ちるのは当たり前。おそらく今後その質は限りなく落ちていくのは間違いなさそうだ。
この間に、小学校の教師が英語を指導できるようになればこんな問題は解決できるだろうが、実際には『絶対無理』であることは、現場を少し知っている人間には常識中の常識。
何か再来年からの小学校現場の混乱が目に浮かぶようだ。(田舎親父)


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