こんな高校があるんだ・・・
一つの記事が、今年早々に報じられたバカバカしい事件を思い出させてくれた。
教員のお遊びなのか、何かの罰則なのかはわからないが、生徒の頭をバリカンで刈り取り『2009年牛』と絵文字もどきの『作品?』にしていたことが明らかになり、大騒ぎになった事件である。
このことはかなり以前、私も取りあげたと記憶しているが、当時は教員と生徒のユ-モア合戦だろうと簡単に捉えており、この程度のことで何故こんなにマスコミが問題視するのだろうと疑問を投げかけた文章だったと記憶している。
急にこんな話を持ち出したのは『昌平高校』という埼玉にある私立高校のベテランの教員が、生徒のいない教室で『模擬授業』を強要されているという記事を見つけたからである。『昌平高校』どこかで聞いた名前だなと思って記憶を辿ると、このバカバカシイ事件の部隊だったということを思い出した次第である。
記事によると、この高校の今村という教員が、生徒のいない教室での強制的にやらされる『模擬授業』の中止などを求める仮処分を、埼玉地裁に申し立てたとのこと。
同校は大手進学塾『栄光ゼミナール』が一昨年から経営に入って以来、75人もの教師が退職したとのこと。在校生やPTA、卒業生は困惑しているが、学校側は『教育の質を高めるには当然の措置』と主張しているらしい。
私はこの記事で『昌平高校』が『栄光ゼミナ-ル』という塾が経営しているとのことを始めて知ったが、なるほど大手の進学塾のやりそうなことである。
今村センセイは国語担当の教員生活25年のベテランだそうだが、今年4月に授業から外され、寮管理などの仕事に回されているという。塾側からみたら、授業の質が低いと判断したのだろうが、センセイ自身は劣っていないと自信を持っている上に、教育には素人の塾の経営者たちを相手に、50分間、授業の『まね事』をさせられることにプライドがいたく傷ついたというところか・・・。
それにしても3年間に75人もの教師が退職しているのは尋常ではない。塾的な発想では、生徒個人の内面に踏み込んだ指導などは全く不要なのかも知れない。いや不要どころか、生徒個々の人間性など知ったことではなく、ただ入試の模擬テストの点数を上げることが授業の狙いになっているのではないだろうか。だとしたら・・・。
こんな考え方が経営理念とすると、当然のことながら、模擬テストの点数が上がらないような、まどろっこしい指導をする教師など必要ではなく、自分たちのかかえる塾の講師の方が優秀だと思い込むのも当然といえば当然かも知れないが・・・。
講師たちも正式に高校の教師に採用されるのだから、ますます点数を上げる授業の質を高めることに専心。ますます経営者たちを喜ばすということになるのでは。
記事はまた、今村センセイについて、同校の卒業生は『授業は面白く、愛称で呼ばれるほど生徒から親しまれ、学校行事にも積極的だった』となかなか評判が良い。しかし、『新体制後はいつも校長に呼び出されて疲れ切っていた。何度か入院もしていたはず』と心配もしていると書いている。一部では今村教諭を支援する署名活動の動きもあるとのことだが、在校生のコメントはないのが気になる。
この高校は塾が経営するようになる以前は毎年、入学者が定員割れしていたようだが、現在は定員オーバーで、偏差値も46から52にまで上がったというから、在校生や保護者は現状を受け入れているのかも知れない・・・。が、他人ごととは言いながらも何かすんなりとは受け入れたくないものが残る。
『以前の当校は授業も満足に行えないほど教師の質が低かった。教師の授業力を高めるのは学校の義務。今村教諭には教材研究や時間配分、目線、板書の方法など最低限のスキルを身につけてもらい、一刻も早い授業復帰を願っています』とは教頭の弁。ここまで言われるのでは、気の毒だが今村センセイにとって勝てる要素は少なそうだ。
それはさておき、正規の学校としての高校が『予備校』の発想で運営されても良いのかとなると、考えさせられる。民間企業だから数値を上げるのは当然だという経営者の考え方を頭から否定する気はないが、そんなシステムを容認している教育行政に何か奇怪しいと感じるのは私が変なのだろうか。
少なくとも総合的に『人間の価値を高める』ことが教育の原点であり学校の目標だとしたら、やはり点数を上げることだけが目的の高校が『学校』として存在すること自体が問題ではないだろうか・・・。(田舎親父)


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