恐怖を煽るのがお好きなようだ・・・
先日発表された首都圏直下型の地震が起きた場合の東京都の被害想定の数値の大きさにはいささかビックリ。
これは東京都防災会議の地震部会が18日に発表したものだが、東北大震災を受けて、首都直下地震などの被害想定を六年ぶりに見直したものだという。
特に切迫性が高いとされる東京湾北部を震源とするマグニチュード(M)7・3の地震が起きると、従来の想定を4千人上回る9千6百人の死者が出るとのこと。23区内の7割が震度6強以上に見舞われ、一部地域では震度7になると想定になっていると、その日と翌朝は新聞テレビが一大キャンペ-ン。まるで明日にでも襲ってくるような報じ方に、何か狂気のような雰囲気を感じるのは私だけなのだろうか。
地震部会は『客観的なデータや科学的根拠に基づき、可能な限り実際に起こりうる最大の被害像』とのことだが、今までの客観的な科学的根拠とどのように違うのかというところがいま一つピンと来ない。
東京都は、この新しい想定に基づき、9月までに『地域防災計画』の修正案をつくるとのことだが、これほど想定を広げたら、避難場所一つとっても、そこが本当に安全な場所なのかということ自体考え直さねばならなくなり、絶対安全な避難場所の選定すら大変なこと。想定人数が避難できる安全な場所を確保できるかさえ疑問に思えてくる。
都の地震部会は被害を算出するため、発生メカニズムなどにより地震を四類型で想定したという。このうち首都機能に最も大きな被害が出るとされる東京湾北部地震は、これまでより地下の浅い地点が震源になるとの最新の知見を踏まえて震度分布を作成したそうだが、23区内は震度6以上のオレンジ色一色。中には震度7の赤が点在しているという物凄さ。
その場所は江東、品川、大田各区など湾岸沿いというから、その地域に住んでいる人々は一時的にパニックに陥ったのではないだろうか。
被害が最大になるのは、冬の夕方六時に風速8メートルの風が吹いた場合としている。揺れによる建物倒壊で5千3百78人、火災で4811人が死亡、負傷者数は14万7611と推計しているが、ここまで厳密な数字はどこからくるのだろう。
東北大震災の津波被害の実態からも明らかなように、大災害時には一瞬の情況判断の差によって、その生死が決まった場合が多く、死者の数を細かく推定できるとはとても思えないのだが・・・。
震度6の揺れによっては、各地で建物が倒壊するだろうことは、昨年3月11日、震度5程度でも、あの凄まじい揺れを感じた私にも理解できる。首都圏の木造住宅の密集地域では火災発生が相次ぐだろうし、液状化や急傾斜地の崩壊なども加えると、その被害情況は想像を絶するものとなるだろう。
地震部会は、都内だけで、建物被害は30万4300棟と見込んでいるというから、震度6では何区間に町のこの建物は倒れるというデ-タを持っているのだろうが、地盤の固さや揺れの方向、あるいはまわりの住宅との距離などによって、かなり条件が変わるはず、そこまでを補うデ-タだとはとても思えない。
被害想定は家屋の倒壊に留まらず、各地の津波の大きさなど細部にわたっている。また帰宅困難者などにも及び、まるでパニックが起きることを楽しんでいるのではないかと思うほどの数値が並んでいる。
『備えあれば憂いなし』は昔からの言い伝え。実に素晴らしい教訓であるが、どんな憂いに対して備えるかは時代によって大きく変わるもの。火事は華と言われていた江戸時代の庶民の備えは、半鐘の鳴り方によって一瞬の判断をして、普段からの備えとして準備している身の回りの大事なものをまとめて、まずは逃げること。それで命が助かることが多かったことは歴史が証明している。
ところが、今回の地震部会の被害想定は、とても個人の努力で備えられるものではない。耐震工事は必要だろうが、そのためには莫大な費用がかかり、実際に工事ができる住民は限られるのではないだろうか。また、住宅密集地では、たとえ自分の家は倒れなくても、隣が倒れ、火事が起きれば耐震工事そのものが無駄だったことにもなりかねない。
だからこそ、全ての住宅の耐震化を進めるべきだという考えになるのだろうが、『震度7に耐える木造住宅』とはと具体的な基準を示したとしても、それにどう対処するかは個人に委ねられる現状では、震度7に耐えられる街づくりなどは絵に描いた餅でないだろうか。
私は、震度7の到来時、冷静に判断ができるかどうかの自信はない。しかし、未曽有の大災害とその後のことなど想像すると、(意識的には)その時は、この世の終りと思い、家の下敷きになって死ぬのも悪くないと開き直る気持ちになりはじめている。
こんな考えの人も多いのではないだろうか。(田舎親父)
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