« 過労死が当たり前の世の中に・・・ | トップページ | 叱るのも難しい時代に・・・ »

2014年4月30日 (水)

高裁もボケ老人は座敷牢判決・・・

 昨年の8月のことである。名古屋地裁が『認知症の高齢男性が電車にはねられたのは、見守りを怠ったからだとして、電車の遅延の賠償金約720万円を遺族からJR東海に支払うように命じた』という判決に、エッと思ったのは私だけではないだろう。

 このことは小覧でつぶやいたのでよく覚えている。(繰り返すが)2007年の12月のある日の午後4時半頃、91歳の痴呆症の男性はディサ-ビスから帰宅、家族とお茶を飲んでいたが、家人の隙をついて自宅を出て徘徊を始めたとのこと。妻が気がついて、近所を探したが見つからず、1時間ほど後になって、JR東海が所管する東海道本線の共和駅で踏切に入り、電車にはねられて死亡したことが明らかになったという事件である。

最近の認知症絡みの話題から、さほど驚くほどのことはないのも寂しいが、見守る義務がある妻や息子の一方的なミスだとして、720万円というトンデモない額の賠償を求めた名古屋地裁の裁判官の意識に疑問を持ったものである。

賠償を命じられた遺族の長男は『常に一瞬の隙もなく見守るなんてことは不可能。家族でやれることはすべてやってきた』と主張し控訴したことは当然だろう。代理人の弁護士の『判決が認められれば、徘徊歴のある高齢者の家族は、すべて事故時に責任を負わされるおそれがあり、介護が立ちゆかなくなる』との意見ももっとも・・・。

この控訴審の判決が、先日名古屋高裁ででた。しかし、その内容が『見守りを怠った』という地裁の判決を肯定するものだったので驚く。一審では、63歳の長男にも見守り責任があるとしていたのだが、高裁は、同居している妻だけに責任があるとして、359万円支払いを命じたのこと。

踏切事故で死亡した91歳の夫は、常に介護が必要とされる『認知症高齢者自立度4』と認定されていたという。その夫を91歳の妻が介護している図は、私には気の毒でとても描くことができないが、世間的にはよくある話らしい。

脳的にはほとんどボケているのに、身体は丈夫で少しでも目を離すとすぐに外に出る癖がある夫を、91際の妻が四六時中面倒を見られるとはとても思えない。妻は精神的には異常がなく、思考も元気だとしても、91歳という老齢では身体がついていかないのは当然過ぎるほど当然だろう。

デイサ-ビスというものも,私には今一つはっきりとは理解できないが、受け入れる職員は送り迎えはしても、送り届けた後までの面倒は見る義務はないだろうから、後はよろしくとなるのも無理はない。

 妻は夫をいたわりつ・・・ではないが、帰ってきた夫と談笑している途中に、突然夫が立ち上がって、鍵を開けて外に出多として、妻がそれをくい止められるとは思えない。夫が動き出してしばらくしてのろのろと立ち上がり、外に出た時には夫ははるか先を歩いているとなると、妻にできることは、日頃から通っている老人施設に電話する程度しかない。

警察に届けることもあるだろうが、警察としても一度なら本気で探そうとするだろうが、二度・三度となると、その態度はおざなりにあることは、先日2年ぶりに身元が分かった太郎さんの零からも明らか。

そんな現実の中、妻だけに賠償責任を負わせるとは私には到底理解できない。夫婦が互いに協力し、助け合っていくことが大切なのは疑義がないが、配偶者というだけで常に責任を負わされるとなると、精神的にも、経済的にも追い詰められ、とても在宅介護など成り立つはずがないだろう。

 太郎さんはたまたま保護されたが、予備軍を含めて高齢者の三分の一が認知症だという現実では、同じような事故はほかでも起こる可能性は限りなく100%に近づくだろう。徘徊対策として玄関に開閉センサーをつけても、ヘルパーに頼んでも、行動予測の難しい人を二十四時間、一瞬も目を離さず見守ることは不可能。裁判官たちは、徘徊に因があるこのような事件を起こさないためには、『座敷牢』を作る費用を介護保険で負担しなさいというところらしい。

この判決が前例になれば、ほかの事故でも損害賠償裁判で責任を問われることになるのは明らかだろう。これでは在宅介護などという言葉すら無責任で無意味な響きを持つ。

 そうなると、(以前に述べたことの繰り返しになるが)認知症の夫(妻)を介護している人は、日頃から、徘徊癖のある夫(妻)には『衝突するのなら自動車だよ。間違っても踏切には近づかない』ということを、繰り返し言い聞かせることでは・・・。悲しいことだが、これが我が国の福祉介護の現状らしい。

妻が上告するのは当然である。最高裁の裁判官たちが、在宅介護の現実をしっかり調べて、国民が納得できる判決を出してくれることを望みたい。(田舎親父)

 

« 過労死が当たり前の世の中に・・・ | トップページ | 叱るのも難しい時代に・・・ »

コメント

私もこの判決覚えています!
裁判官おかしいんじゃないの?!と誰しも思ったと思います。

私は40代で独身子無しですが、いま親が70近くなって介護必要になるのかな…と不安です。
このほかにも大正生まれのぼけ老人施設に入れっぱなしで(血のつながりがかなり薄い人なので)、昔の人は心臓が強いので死なないんですよ!これもまた迷惑。

親のほうがぽっくり逝っちゃうかも。

長生きはしたくないですわ。
50前に死にたいわ。ホント。

いやいや古い原稿にコメントいただき恐縮です。
おっしゃる通りですね。
老人は消え去るのみだとは思いますが、最近の医療の発達は、死ぬことさえままならぬとなると、ただただ困ったものだとしか言いようがありません。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208744/59556385

この記事へのトラックバック一覧です: 高裁もボケ老人は座敷牢判決・・・:

« 過労死が当たり前の世の中に・・・ | トップページ | 叱るのも難しい時代に・・・ »

2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
無料ブログはココログ