« 国のメンツ?・・・ | トップページ | 死の商人が喜びそう・・・ »

2016年11月18日 (金)

この分野には成果主義は似合わない・・・

 世を挙げて、全ての物事に成果を求める考え方はいつ頃から始まったのだろう。戦後の荒廃から立ち直るために、経済の復興が第一に掲げられて国の復興に尽力された先人たちたちに続いて、私の年代も含めて段階の世代といわれている人々が遮二無二働き、現在の豊かな社会ができたことは否定しないが、経済の成長の速度が鈍くなると、俄然注目されるようになったのが『成果主義』という考え方であることは忘れたくない。

私は『成果主義』という言葉を、全ての仕事を商品化し、その売り上げをいかに延ばすかというのが基本という考え方だと受け止めている。最近は、ノルマを決めその達成を強いることが企業として当り前になり、その負の結果として、先日は電通の新入女性社員の過労による自殺が大きな社会問題として取り上げられてはいるが、これは氷山の一角。

無理が祟り精神的な病気に追いやられる人々が続出し、そのために自殺に追いこまれたりうつ状態になる例は、私の現役時代でも日常的に聞く話であったが、騒がれてもすぐに忘れられる繰り返し。これも誰もが認めるところであろう。

 経済成長が少し鈍った段階で、このことを反省すればもう少し違う社会が実現したのかもしれないが、経済成長を止めることは『犯罪に等しい』という考え方か全てに優先してきたものだから世の中変わるはずがない。最近はその傾向に、さらに拍車がかかっているというところでは・・・。

教育の分野では、何よりも『ゆとり』が大事にされなければならないはずなのに、20年ほど前から、教員一人一人に『教育考課』という、自分の能力以上の目標を掲げさせて、その達成が求められるようになり、管理職がその監視の目を徹底。その達成率によって、報酬に差をつけることが当り前になったことを何度も嘆き悲しみつぶやいている。

その格差のつけ方が、各教育委員会に割与えられた総額を変えないで、相対評価で評定し、C・Dランク教員の減額した分を、A・Bランクの教員の給料に上乗させるという姑息なやり方。なんともいじましい情けない話である。

そして今この考え方が、教育よりさらに縁が薄いと思われていると同時に、現在の社会でももっとも重要な課題になっている『保育や介護』の世界にも及んできたらしいとなると、この国の行く末に大きな不安を覚える。

こんなことをつぶやくのは、先日の新聞記事が原因である。アホベ首相は、高度成長戦略を検討するという会合で、『介護が要らない状態までの回復を目指す』と発言したことに、なんとも狭量で危険な発想を感じたもの・・・。

介護保険の破綻を何とかつくろいための言葉だろうと思うが、介護保険について、介護を必要とする高齢者の自立支援を中心にした制度へ転換するのだそうだ。アホベという男は、実にいろいろな言葉を使い分けできる、ある種の『誤魔化しの天才』という表現ができそうだが、私には突然『自立支援』と言われても戸惑うことが多過ぎる。

高齢者が自立できることは否定するものではない。このあたりの心理を巧みについた発言だろうが、自立することは良いことに違いないと感じて、(意味不明ながら)なるほどと納得させてしまうのは、この男の得意中の得意技・・・。

ところが、今回の発言の真意が『高齢者の要介護度を改善させた介護サービス提供事業所の報酬を引き上げ、自立や回復に消極的な事業所の報酬を引き下げる』ということだと気づくと、これは介護の社会にも『成果による報酬』を導入するというもの。これは危険この上ない発想である。

これが正式に導入されたら、自分で歩けて認知程度も軽い(これが自立)高齢者を多く集めた事業所の報酬が高くなることは明らか。反対に、自立できるまでになるには、事業所や職員に相当な努力が必要な寝たきりの高齢者は、金儲けにならないと敬遠されるのは、世間知らずの私でも理解できる当然の理だろう。

高齢者本人も、どんなに自立に励んでも、年が加われば心身が衰えていくことは当り前で、一旦寝たきりになると、自分で歩けるようになることなどごく稀だろう。まして、全ての面で自分で用が済ませるとなると、これは不可能に近いのでは・・・。

なのに、自立できない高齢者を抱えていれば、事業所としての利益はもとより、現在でも給料の低いことが問題になっている介護士をさらに差をつけることになる。

要介護度の高い人ほどサービス提供事業所への報酬は多く、要介護度が低くなると報酬が下がる現在の介護保険のシステムは問題があるが、成果主義が取り入れられたとしたら要介護度の高い人をベッドに寝かせきりにしている施設が高い報酬を得る一方で、質の高いサービスで要介護度を改善させた事業所は報酬が少なくなりそうだ。これは酷い・・・。

 介護サービスによって高齢者の心身がどう変わったかという結果で報酬を決めること自体は間違っていないという意見も多いだろうが、改善の成果が、事業所の提供するプロクラムによるものか、高齢者本人や家族の努力によるものかはっきりしない中で、事業所だけを対象にしての『成果主義』には反対である。(田舎親父)

« 国のメンツ?・・・ | トップページ | 死の商人が喜びそう・・・ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208744/64508651

この記事へのトラックバック一覧です: この分野には成果主義は似合わない・・・:

« 国のメンツ?・・・ | トップページ | 死の商人が喜びそう・・・ »

2017年11月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ