« 神を冒涜する人体実験?・・・ | トップページ | トランプ対メディアの戦い・・・ »

2017年1月14日 (土)

美談仕立てで医師の確保?・・・

 福島原発事故の避難命令が出されている地域で唯一医療を続けていた広野町『高野病院』の81歳の院長が亡くなったのは昨年の末。

この院長は、生前メディアのインタビュ-を受けて、『何も大袈裟なことではない。逃げるに逃げられない入院患者が多かったことから、その人たちを医師として見捨てることができなかっただけ・・・』と語っていたことに、『凄い医師がいるものだ』と感心したことがずっと頭に残っている。

ただ、あの高濃度の放射線の中、残って医療を続けて良いのだろうか?・・・という素朴な疑問が消えず、『尊敬と疑問』という相反する価値観が私の中で葛藤し続け、それは今も続いている。

話は変わるが、現政権は内外に原発事故は収束しつつあるというメ-セ-ジを発するために、除染が進み放射線の値が下がり、生活する上で安全性が確保された(間違いなくウソだろう)として無理にでも住民を帰還させる政策をとり続けててる。

去年の10月、自分の眼で確かめたいために帰還困難地区周辺を走り、車内からではあるが、除染した土などが入っていると思われる黒いビニ-ルが大量に並べられ、その上をグリ-ンのシ-トで覆っている光景に衝撃を受けたことはすでにつぶやいたこと。

その数がまりにも多いことにビックリ、こんな環境の下でも生活している人たちが存在し、中には家の新築現場もあることを目の当たりにして、改めて、大丈夫なのだろうかと、疑問を口にしたが、あれから3ケ月過ぎた現在でも、黒と緑の面積は増え続けていると聞くと、まだまだ安心して住むにはほど遠いことだけは間違いない。

そんな私の思いなどこ吹く風で、政府は今春、事故原発周辺の富岡町と飯舘村の大部分で、年間の放射線量が20ミリシ-ベルト以下になったことを理由にして、避難指示を解除する方針だという。加えて、浪江町も一部が近く解除される見通しだと報じられている。

故郷を追われて避難生活を余儀なくされている人々はできれば帰還したいと望んでいるだろうことは想像に難くないが、帰りたいとは思いながらも、子どものためにはもう少し様子を見たいと思う人たちも多いはず。事実、避難解除となった地域に戻る住民の殆どが高齢者であることは、多くのメディアが繰り返し伝えていること。

高齢者に限らず地域住民にとっては生活環境(インフラ)が整っていなければ、日常生活に支障がきたすことは当り前で、特に、高齢者が暮らすためには、医療の整備が必定だろうが、国は解除を宣言するための医療環境を整備しているとはとても思えない。

私が走り回った範囲では、比較的大勢の人が集まっていた『浪江町マルシエ』がある浪江町役場の近くに病院(浪江町病院?)の看板があったのが唯一で、他の集落には医療機関を思わせる建物は見られなかったことから、人が住めるという意味での復旧とは言い難いのでは・・・。

 話は戻すが、避難命令が出された地域でたった一つ医療業務を続けていた高野病院の院長は残りたくて残ったわけではなく、入院患者が避難に耐えられなかったからだと語っているように、他の医療機関は避難したのは批判できるはずがない。医師といえど放射線は怖いはず。いや医師だから放射線には知識が深く、たとえ避難解除がなされたとしても、すぐに戻る決心などできるはずがないのは明らか。

 このことは、福島県が昨年9月に公表した医療復興計画によると、双葉郡内の八町村では原発事故前の11年3月1日現在で、6つの病院が診療活動をし、常勤医は39人いたのだが、一昨年12月には、病院は高野病院だけ、常勤医は高野院長一人だけという記事で良く分かる。

 高野院長が亡くなったことで常任医はゼロ。県と国は、今までは個人病院の経営の支援はできないとの方針を変えて全面的に支援すると表明しているという。支援とは病院の存続ということだろう。存続のためには常勤医の確保が必定だが、病院というハコモノを作るのは簡単だが、『お前行ってこい・・・』という命令一本で確保できるような簡単な問題ではない。

先日の新聞記事では、東京都立病院の医師が、高野院長の意志としての矜持に感銘して志願したというが、実際に赴任するのは2~3月だけというから将来的な常勤につながるかはまだ未定・・・。

県と国は、無理にでも帰還させた住民の医療帰還の確保は、今後の政策を進める上でも緊急案件なだけに、高野病院の話題はよほど魅力があるらしく、亡くなった老院長の意思を高く評価することで、常勤の意思の確保につなげたいという思惑が垣間見られる。

原発事故から間もなく満6年。関心が薄れ、多くの国民は遠い出来事のように感じているだろうことは想像に難くない。

私は、院長は自らの死をもって『原発事故は終わっていない』ことを訴えているように感じてならない。院長の死を美談仕立てにして病院の存続をさせることは、院長の意志とは明らかに異なり許されることではないと叫びたい。

国が真っ先にやらねばならないことは、住民を帰還させる以上(安心して生活できるためにも)医師自身が安全だと確信できるデ-タを示し、納得して常勤医師として赴任する環境を整えることだと思うのだが・・・。(田舎親父)

« 神を冒涜する人体実験?・・・ | トップページ | トランプ対メディアの戦い・・・ »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/208744/64760877

この記事へのトラックバック一覧です: 美談仕立てで医師の確保?・・・:

« 神を冒涜する人体実験?・・・ | トップページ | トランプ対メディアの戦い・・・ »

2017年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      
無料ブログはココログ